粗食のすすめ

Posted: 2010/05/14

実はもう10年くらい前に出版されていたものなのですが、
先日たまたま西荻窪の古本屋で¥300でゲットし、
なかなか興味深い内容だったのでちょっと紹介させてください。


僕が小学生だった頃、
教室のうしろに様々な食品がビタミンや無機質といった、
その主な栄養素でカテゴリー分けされた表のようなものが貼ってありました。

そして「好き嫌いを無くしバランス良く栄養をとりましょう」と書いてあり、
先生もそのことを奨励(給食を残してはいけないということ)していました。

本の中でも触れていますが、
ではこの「バランス」とは誰にとって都合の良いバランスなのでしょうか。

アラスカに住む人はアザラシの肉を、
パプア・ニューギニアの高地の人はサツマイモを、
アラビアの砂漠に住むベドウィン族はナツメヤシの実とらくだのミルクを、
それらをほぼ主食としているが健康面に置いて特段問題があるわけではないそうです。

つまり世界各国、本当は偏食だらけなんです。

結論から言うと日本人には日本人がずっと食べてきたものが体質に合っていて、
米、そして漬け物や発酵食品など、日本の四季に対応し、風土に根ざしたものの中にこそ、
先人が生きるために暗中模索してきた知恵が凝縮されている、ということです。

欧米では日本のように水の確保できる土地が少なかったこと、
湿度の少ない気候などの条件もあり小麦をつくったが、
連作すると土は弱ってしまうので翌年は違う葉ものなどを栽培しなくてはならなかった。

つまり小麦は主食としては弱かったのです。
そこで牧草地帯に家畜を育て、肉食の文化へと繋がっていったわけです。



先の話に戻ると、
バランスの良い、と言われていたものは欧米のスタイルを取り入れ、
彼らのように大きくたくましくなりましょう、ということ。

では、これらが推奨されたあと、日本の健康事情は上向きになったのか。

成人病、アトピーなど、現代病と呼ばれるものの患者数が上がってきた時期と
戦後、この食文化を推奨してきた時期というのはリンクするそうです。

実際、僕自身も上京してきてからアトピーまではいかないが
肌のトラブル、精神面での倦怠感やイライラなど、
食生活の変化がもたらしたであろう変化を体験しています。
(実家では毎朝ご飯、みそ汁は必ず食べていた)

加工食品の添加物うんぬんの話の前に、
乳製品、加糖類、極度の肉食などが
体質への拒絶を少しづつ始めているのが最近になってわかったので
この本の内容がしっくりきた、という経緯です。

また、
ついつい利用しがちなコンビニやファーストフード、
付き合いがあるんで、とか時間がないんで、とか
何かと理由をつけ食べざるを得ないのが都市型人間の病みであると思います。

同時に、街のなかをざっと見てもご飯の食べれる店の少ないことは
文化を浸食されているという点での敗戦国である日本の闇でもあると思うのです。

現在需要の多い畜産を行うためには、飼料となる穀類を輸入しなくてはならない。
そう、日本ではそれらを育てるのが気候的に難しいからです。

この点ですでに僕は外国からの経済的な策略を感じずにはいられません。

プロパガンダによって
食とファッションが、もはやごっちゃになっている。

みんな日本の文化はリスペクトしているんだろうけど
リアリティーがそれらに対しあまりにもないので
盲目になっているんじゃないのでしょうか。


健康が良いから実践した方が良い、
とかは個人の生き方だからどうでもよいのですが
欧米の文化が、その模倣が、自分にとって何なのか、
それらがどこへ自分を連れて行くのか、
よーく自分のリアルな尺度で考えてみる必要がある、
ということを強くこの本から感じました。



ここに書いた以外にも
サプリメントの落とし穴や、食育に関するカウンターパンチが
痛快明快に書かれていて面白いので気になった方は是非一度。
アマゾンで買えます。


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